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アンカー 1

​  最速降下問題は、ガリレオが円弧である(1638年頃)と考えたが、間違いであった。

 ベルヌーイが1696年にこの問題を提起したところ5人ほどの解答があったが、その中でニュートンの逸話が面白い。

「疲れていたけど睡眠時間を少し削って解いたよ」という記録が残っている。ニュートンの天才ぶりと少し自慢げな性格が人間的で面白いエピソードである。最速降下問題は、高校の授業で扱うにはハードルが高いが、円の方程式は学習するので、サイクロイド曲線がどんなものか程度の内容を扱うのは意義があるだろう。

 また、歴史的な背景を紹介することで、17世紀以降に数学を含めて自然科学が飛躍的に進んだことや、それにかかわった天才の生きざまなどを物理の授業からアプローチすると、他教科(例えば世界史)などに興味を持つ動機になると確信する。

  単振り子の周期T=2π√l/gは高校で習うので、そのとき振り子の等時性は説明されるが、サイクロイドについても言える。この性質は、どの高さから同時に落としても真下では必ず同時に到着するということであり、重力によって自然落下する時とサイクロイド曲線上を動く時とは現象が異なる不思議な事実である。

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